2025年9月
10日(水)10:30/14:30
11日(木)10:30/14:30
12日(金)10:30/14:30
13日(土)10:30/14:30
14日(日)10:30/14:30
(1日2回、計10回上映)
※前売券なし・当日現金支払いのみ・全席自由・各回入替制・整理券制
◎13日(土)14:30の回終了後、アフターイベント開催予定!
【問い合わせ先】埼玉映画ネットワーク 048-762-9407
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国シネマスタジオ 『ル・アーヴルの靴みがき』
2025年9月
10日(水)10:30/14:30
11日(木)10:30/14:30
12日(金)10:30/14:30
13日(土)10:30/14:30
14日(日)10:30/14:30
(1日2回、計10回上映)
※前売券なし・当日現金支払いのみ・全席自由・各回入替制・整理券制
◎13日(土)14:30の回終了後、アフターイベント開催予定!
【問い合わせ先】埼玉映画ネットワーク 048-762-9407
港町ル・アーヴルの裏通りに花を咲かせた 名匠アキ・カウリスマキの人間賛歌
映画らしい派手な事件はさっぱり起こらず、お世辞にも美男美女とは言いがたい登場人物たちは皆、素っ気ないほど無表情。それなのに豊かな詩情や情感がじんわりと滲み出し、オフビートなユーモアがひょっこりこぼれ落ちる。北欧フィンランドからそんな魔法めいた映画を届けてくれるアキ・カウリスマキ監督の『ル・アーヴルの靴みがき』は、2011年の第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、観客の熱烈な拍手喝采とともに国際批評家連盟賞を獲得した珠玉作だ。さらにはフランスの栄えあるルイ・デュリック賞に輝き、ヨーロッパ映画賞では主要4部門にノミネート。100分以内に収まるミニマルな様式で庶民の慎ましい生活を描く“いつもながら”のカウリスマキ節と、“いつもに増して”愛おしい温もりに満ちた物語が、あらゆる観客を至福のひとときに誘うヒューマン・ドラマである。
庶民の人情と善意が奇跡をたぐり寄せる 至福のハッピー・エンディング・ムービー!
長編映画としては『街のあかり』(06)以来5年ぶりの新作で、『ラヴィ・ド・ボエーム』(91)に次ぐ2本目のフランス語映画となる『ル・アーヴルの靴みがき』は、大西洋に臨む北フランスの美しい港町で撮影が行われた。監督デビューした1980年代から一貫して社会の片隅でひっそりと生きるアウトサイダーを見つめてきたカウリスマキ監督は、今回はヨーロッパの深刻な不法移民問題に目を向けつつ、パン屋、雑貨屋、バーなどが建ち並ぶル・アーヴルの裏通りに暮らす市井の人々の人間模様を描出。人生の黄昏時に差しかかった初老の男と行き場のない孤独な少年の出会いを軸に、現代のメルヘンというべき魅惑的な映像世界を紡ぎ上げた。
何かと世知辛い今の時代を、貧困や病に見舞われて生きるマルセル&アリエッティは、拭けば飛ぶようなちっぽけな存在だ。カウリスマキはそんなふたりのかけがえのない夫婦愛、気のいい隣人たちとの友情、そして難民の少年への無償の善意を、説教臭さもうさん臭さもまったく感じさせない素朴なタッチで映し出す。金融危機、政治の停滞、格差の拡大といった暗い世相に覆われた現代に、あえて庶民の優しさや誠実さをみずみずしくもペーソス豊かに謳い上げたその人間讃歌は、ル・アーヴルの路地に希望のあかりを灯らせ、カウリスマキ的な哀愁と侘しさをまとった世界をきらきらと輝かせていく。やがて訪れる奇跡のように晴れやかな旅立ちと再生のラスト・シーンは、しばし忘れえぬ“最高のハッピー・エンディング”として観る者の胸に染み入るに違いない。
*ル・アーヴル Le Havre
フランス北西部ノルマンディー地方の、ちょうどセーヌ川河口の右岸に位置する港湾都市。その港はマルセイユに次ぎフランス第2の規模を誇り、大きな工業地帯が隣接している。街の中心部は第二次世界大戦後に建築家オーギュスト・ペレが再建した近代的な建築物が並び、ユネスコの世界文化遺産に登録されている。
ノルマンディー地方は印象派の画家たちを魅了した土地として知られ、少年時代をル・アーヴルで過ごしたクロード・モネは代表作「印象・日の出」でル・アーヴルの港を描いている。またリンゴや乳製品の生産が盛んで、りんごのお酒シードルやカマンベールチーズが有名。本作でモネ警視が好んで飲むりんごの蒸留酒カルヴァドスはこの地方の特産品である。
アキ・カウリスマキ監督からのメッセージ
ヨーロッパ映画はこれまで、悪化する一方の金融、政治、そして何よりモラルの危機といった、いまだ解決のみえない難民問題を招いている事柄を、あまり扱ってこなかった。何とかして諸外国からEUへやって来ようとする難民たちが受ける、通常ならありえない、往々にして不当な扱いについて描いてこなかったのだ。
私にも、この難題への答えがあるわけではない。それでも、このとかく非現実的な映画で、この問題を取り上げたかったのだ。
かつてパリでボヘミアンな生活を送っていた元芸術家マルセル・マルクスは、今はル・アーヴルの街角でしかない靴みがきをしている。我が家でマルセルの帰りを待っているのは、献身的な妻アルレッティと賢い愛犬ライカだ。そんなある日、病に倒れて入院したアルレッティと入れ替わるように、アフリカからの難民の少年イドリッサが自宅に転がり込んでくる。イドリッサを母親がいるロンドンに送り出してやるため、密航費3,000ユーロを工面しようと奮闘するマルセル。しかしその頃、アルレッティは医師から不治の病を宣告され、執拗にイドリッサを捜索する腕利き警視モネの捜査の手がマルセルの身に迫ってくるのだった——。
上映日時 | 2025年9月 |
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会場 | 彩の国さいたま芸術劇場 映像ホール |
作品情報 | 監督・脚本・プロデューサー:アキ・カウリスマキ 出演:アンドレ・ウィルム、カティ・オウティネン、ジャン=ピエール・ダルッサン、ブロンダン・ミゲル、ジャン=ピエール・レオー、ライカ 2011年/フィンランド・フランス・ドイツ/フランス語/93分/原題:Le Havre/35mm・DCP/カラー/1:1.85/ドルビーSRD/日本語字幕:寺尾次郎/提供:ユーロスペース+キングレコード/配給:ユーロスペース |
主催 | 特定非営利活動法人埼玉映画ネットワーク |
共催 | 公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団(彩の国さいたま芸術劇場) |
料金 (税込) |
【全席自由】 一般1,100円/小中高生600円*(いずれも税込) *学生証を確認する場合がございます。 |
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