Vol.111
2024年10月号
彩の国さいたま芸術劇場
2022年3月
2日(水)10:30/14:30
3日(木)10:30/14:30
4日(金)10:30/14:30
5日(土)10:30/14:30★
6日(日)10:30/14:30
(1日2回、計10回上映)
※前売券なし・当日現金支払いのみ・全席自由・各回入替制・整理券制
★3月5日(土)14:30の回上映終了後、アフターセミナー開催。ゲスト:小林正英さん(尚美学園大学教員/欧州国際政治専門)
【重要】彩の国シネマスタジオ/新型コロナ感染症拡大防止対策とご来場の皆さまへのお願い
幸せを求めるペトルーニャの闘いを、
マケドニアの女性監督が
アイロニーとユーモアで鋭く描き切った傑作!
第69回ベルリン国際映画祭コンペティション部門
エキュメニカル審査員賞受賞
北マケドニアの小さな街。
ペトルーニャは女性に禁じられた、“幸せの十字架”を偶然手にするが――
彼が周囲に投げかける「なぜ?」は
わたしたち日本の社会にも思い当たる「なぜ?」だ!
本作では、ペトルーニャが「神現祭」で川に飛び込んだことから始まる騒動を描いてゆきます。北マケドニアを含む東ヨーロッパの東方正教を信仰するほとんどの国では、毎年1月19日の神現祭の日、十字架を川に投げ入れる行事が催されており、十字架を最初に手にした者は幸せになれると信じられているのですが、祭に参加を許されているのは男性だけなのです。
発端となったその出来事は、2014年に起きた実際の事件を下敷きにしています。この事件では川に飛び込んで十字架を手にした少女が、地元テレビ局のインタビューで「女性も”十字架”を手に入れるため、どんどん川に飛び込んだらいいと思う」と呼びかけましたが、地元住民や宗教権力者から怒りを買い、「狂っている」「精神障害がある」「問題を抱えている」若い女性との烙印を押されたのでした。
この騒動が浮き彫りにしたのは、保守的な社会に根付く同調圧力と男性支配・男性優位の社会通念に裏打ちされた女性蔑視だと苛立ちと腹立たしさを感じた本作の監督とプロデューサは、女性には「幸せになれる」資格も権利も与えられていないのか!と社会に立ち向かうペトルーニャの物語として映画化に踏み切ったのです。
監督は北マケドニア首都スコピエ生まれで芸術一家に生まれたテオナ・ストゥルガー・ミテフスカ。ニューヨーク大学で映画を学び、新作を発表するたびに数々の国際映画祭で注目を集める才媛です。「今日でさえ、強い女性として活躍するのが難しい」と語る保守的なバルカン地域を舞台に、ペトルーニャの闘いをアイロニーとユーモアで鋭く描き出していきます。そんな世界でペトルーニャが経験する前時代的な状況は、実のところ日本の女性たちも日々経験しているものと大して変わらないのかもしれません。
そして、ペトルーニャを演じたのは、監督がスコピエの劇団「コミック・シアター・オブ・スコピエ」で見出した女優ゾリツァ・ヌシェヴァ。世の中の理不尽に対する怯えと怒りを同時にたたえる瞳、ここぞという時の度胸と大胆さ、周囲の様々な圧力に屈しない精神と肉体の力強さを体現する一方で、そこここで観客におかしみを与えてくれるのは、コメディ女優ならでは。特にペトルーニャがその知識と知性で力に対抗してゆく物語後半、ここぞ、というタイミングで見せる僅かな表情だけで、ペトルーニャの微妙な心の変化を理解させ、その後の幸せをも想像させる表現力は素晴らしいものを感じます。
「幸せになる権利は私にもあるはず。なのに、なぜ?」――映画が描くペトルーニャの思いは、性別だけでなく国籍、出自、セクシャリティ……など、多様な社会に生きるあらゆる人々に普遍的なもの。それがままならない世の中と闘い始め、周囲に投げかける「なぜ?」であり、現代社会にすべての人の「なぜ?」でもあるのではないでしょうか。
北マケドニアの小さな街。32歳のペトルーニャは、美人でもなく、体型は太目、恋人もいない。大学で学んだのに仕事はウェイトレスのバイトだけ。主義を曲げて臨んだ面接でもセクハラに遭った上に不採用となった。その最悪の面接の帰り道、キリストの受洗を祝う「神現祭」の群衆に遭遇する。それは司祭が川に投げた十字架を男たちが追いかけ、手に入れた者は1年幸福に過ごせると信じられている、地元の伝統儀式“十字架投げ”の祭りだ。ペトルーニャは思わず川に飛び込むと、その“幸せの十字架”を手にしてしまう。しかし「女が取るのは禁止だ!」と男たちから猛反発を受け、さらには教会や警察を巻き込んでの大騒動に発展していく……。
3月5日(土)14:30回の上映終了後、アフターセミナーが開催されます。
上映日時 | 2022年3月 |
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会場 | 彩の国さいたま芸術劇場 映像ホール |
作品情報 | 【監 督】 テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ 【脚 本】 エルマ・タタラギッチ、テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ 【出 演】 ゾリツァ・ヌシェヴァ、ラビナ・ミテフスカ、シメオン・モニ・ダメフスキ、スアド・べゴフスキ、ステファン・ヴイシッチ、ヴィオレタ・シャブコフスカ (2019年/北マケドニア・フランス・ベルギー・クロアチア・スロヴェニア/100分)
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主催 | 特定非営利活動法人埼玉映画ネットワーク |
提携 | 彩の国さいたま芸術劇場 |
必ずお読みください | ◆マスクを着用されていない方はご入場いただけません。会場内では常時マスクの着用をお願いいたします。 ◆受付時に検温を実施します。37.5度以上の熱があった場合は、入場をお断りさせていただきます。予めご了承ください。 ◆新型コロナ感染症拡大防止の対策のため、入場にあたってお名前と連絡先の記入をお願いしています。 ※新型コロナウイルス感染症拡大防止対策についての詳細はこちらもあわせてご確認ください。ご来場の前にご一読をお願いいたします。 |
料金 (税込) |
【全席自由】 一般1,100円/小中高生550円*(何れも税込) |
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