Vol.111
2024年10月号
彩の国さいたま芸術劇場
2020年5月
27日(水) 10:30/14:30
28日(木) 10:30/14:30
29日(金) 10:30/14:30
30日(土) 10:30/14:30/18:00
31日(日) 10:30/14:30★
※前売券なし・当日現金支払いのみ・全席自由・各回入替制・整理券制
★アフターセミナーあり。5月31日(日)14:30の回終了後
ゲスト 佐野 光子さん(さの・みつこ アラブ映画研究者)
誕生日も知らない、戸籍もない少年ゼイン
過酷な現実を懸命に生きる姿を描いた奇跡の物語。
両親を告訴するに至るまでの痛切な思いが心を揺さぶる!
12歳の少年の目線を通し、苛烈なまでの中東の貧困と移民の問題に一歩もひるむことなく果敢に挑んだ本作の監督は、レバノンで生まれ育ったナディーン・ラバキーだ。彼女が監督・脚本・主演を務めたデビュー作『キャラメル』がいきなりカンヌ国際映画祭の監督週間で上映されたという逸材だ。そして2018年度にはカンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査委員長にも就任し、今やその才能の輝きはとどまるところを知らない。
この作品でとった彼女の映画制作の手法にも注目したい。リサーチ期間に3年を費やし、ナディーンが目撃し経験したことを盛り込んでフィクションに仕上げ自ら脚本を書いた。また、主人公ゼインをはじめ出演者のほとんどは、演じる役柄によく似た境遇にある素人をキャスティングしている。感情を「ありのまま」に出して自分自身を生きてもらい、彼らが体験する出来事を演出する手法をとった結果、リアリティを突き詰めながらも、ドキュメンタリーとは異なる”物語の強さ”を観る者の心に深く刻み込んでいる。
中東のスラムという、日本からは地理的・心情的に遙かに遠い地域を舞台にしているが、日本をはじめ世界が魂の共鳴を感じ絶賛の波が広がり続けているのも、「少年の成長物語」という普遍性があるからだ。本作が社会の非人道的な深みに設定を置きながらも究極的に希望に満ちているのも、それ故に違いない。
主人公ゼインが求めているもの、それはすべての子供たちにあるはずの<愛される権利>。その権利を手にするまでのゼインの長い旅路は、「何か行動しなければ」と強く思うほどに心をかき乱し胸を締めつけられるが、ひと筋の光を求めて、新たなる出発の無事と幸運を祈らずにはいられない慟哭の物語が『存在のない子供たち』だ。
中東の貧民窟で暮らす12歳のゼインは、貧しい両親が出生届を提出していないため、IDを持っていない。自分の誕生日も知らないし、法的には社会に存在しない子供だった。学校へ通うこともなく、兄妹たちと路上で物を売るなど、朝から晩まで両親に劣悪な労働を強いられていた。
ある日、ゼインの唯一の支えとなっていた愛する妹が11歳で知り合いの男性と強制的に結婚させられてしまった。それに反発したゼインは家を飛び出す。しかしそのゼインを待っていたのは、さらに過酷な”現実”だった。
その後、あることをきっかけにゼインは裁判を起こす。訴えた相手は自分の両親だ。裁判長から「何の罪で?」と聞かれたゼインは、真っ直ぐ前を見つめて答えるのだった、「僕を産んだ罪」と・・・・
果たしてゼインの未来は・・・・。
昨年11月『判決、二つの希望』でレバノンについて写真や資料をまじえながら興味深いお話をしていただいたアラブ映画研究者の佐野光子さんにご登壇いただきます。お楽しみに。
【日 時】5月31日(日)14:30上映回終了後
【ゲスト】佐野 光子さん(さの・みつこ アラブ映画研究者)
上映日時 | 2020年5月 |
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会場 | 彩の国さいたま芸術劇場 映像ホール |
作品情報 | 【監督・脚本・出演】 ナディーン・ラバキー 【出 演】 ゼイン・アル=ラフィーア、ヨルダノス・シフェラウ、ボルワティフ・トレジャー・バンコレ ほか
(2018年/レバノン、フランス/125分) |
主催 | 特定非営利活動法人埼玉映画ネットワーク |
提携 | 彩の国さいたま芸術劇場 |
出演 | アニク・フォンテーヌ、 ポール-パトリック・シャルボヌー、 フレデリック・ルブラスール ※都合により、一部出演者が変更となりました。 |
料金 (税込) |
【全席自由】 一般1,100円/小中高生550円*(何れも税込) |
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