Vol.117
2025年10月号
埼玉会館
人間国宝・野村万作と現代劇や映画など多彩に活躍する野村萬斎が率いる『万作の会』による狂言公演。
今年は、五穀豊穣を祈る祝典曲『三番叟』を野村萬斎と野村裕基、大名狂言の名作『靱猿』には人間国宝・野村万作と野村三代が揃い踏み、埼玉会館創立100周年を寿ぎます。
2026年2月14日(土) 14:00開演
| 一般発売 | 2025年11月15日(土) 10:00 |
| メンバーズ発売 | 2025年11月8日(土) 10:00 |
番組
解説 内藤連
三番叟(さんばそう)
●出演 三番叟―野村萬斎 千歳―野村裕基 後見-高野和憲、飯田豪
笛-竹市 学 小鼓頭取-大倉源次郎 脇鼓-清水和音 脇鼓-大倉伶士郎 大鼓-亀井広忠
地謡-石田幸雄、深田博治、月崎晴夫、岡 聡史、福田成生
●あらすじと見どころ
能楽の儀礼曲「翁(おきな)」の中で、狂言師の勤める役が「三番叟」です。常の能とも狂言とも違う、古風な様式を多く留めた神聖な曲とされ、現在でも、正月の初会や舞台披き、特別な記念の催しなどで演じられます。
まず露払いの千歳(せんざい)が舞った後、三番叟の舞となります。前段の「揉之段(もみのだん)」は、舞手自ら掛け声を発する力強い舞です。大鼓の勇壮かつ軽快な打ち出しとともに動き始め、場に「喜びありや」と陽気を与え、大地を踏みしめ、邪気を払い、畦道を作り、クライマックスの「烏跳び」という跳躍を頂点に躍動的に舞います。その後、「黒式尉(こくしきじょう)」の面を着け、千歳との問答をはさんで、後段の「鈴之段(すずのだん)」を荘重に舞い始めます。鈴を手に、始めはゆっくりとしたテンポで足拍子を踏み、種まきのような所作を交えて舞いますが、鈴の音と囃子の演奏の響き合いとともに徐々にテンポが速まって行き、やがて最高潮に達します。
三番叟の舞は足拍子が多いため、三番叟を「踏む」という表現も使われます。足拍子は大地を踏み固める所作に通じるため、天下泰平を祈る翁の舞に対し、三番叟は五穀豊穣を寿ぐ舞と考えられています。まさに日本芸能の真髄というに相応しい、格式とダイナミックな躍動感を合わせ持つ舞です。

狂言 靱猿(うつぼざる)
●出演 大名-野村万作 太郎冠者―高野和憲 猿曳-中村修一 子猿―中村慶一
後見-深田博治、月崎晴夫
●あらすじと見どころ
大名が太郎冠者を伴い狩りに出かける道中、毛並みのよい子猿を連れた猿曳に会う。かねて靱(矢を携帯するための道具)に猿皮を張りたいと思っていた大名は、その猿の毛皮を譲れと迫る。理不尽な要求に一度は拒んだ猿曳だが、弓矢での威嚇に抗えず、ついに了承する。猿曳は泣く泣く猿に因果を含め、一打ちに殺そうとするのだが…
緊迫から愁嘆、そして和楽へと劇的な構成を持つ名作です。「猿に始まり狐に終わる」という言葉がありますが、野村家では3~4歳の時にこの『靱猿』の子猿役で初舞台を踏む習慣があります。猿曳が謡う猿唄は、中世から近世初期の小歌(流行歌)のメドレーです。

| 日時 | 2026年2月14日(土) 14:00開演 |
|---|---|
| 会場 | 埼玉会館 大ホール |
| 演目 | 解説、『三番叟』、狂言『靱猿』 |
| 主催 | 公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団 |
| 託児サービス | 0歳6か月以上の未就学児に対して託児のご予約を承ります。 【託児お申し込み先】 ※お子さま1人につき2,000円の負担金をいただきます。 |
| 料金 (税込) |
【全席指定】
|
|---|---|
| 発売日 | 【一般】2025年11月15日(土) |
1931年生。重要無形文化財各個指定保持者(人間国宝)、文化功労者、日本芸術院会員。2023年文化勲章受章。祖父・故初世野村萬斎及び父・故六世野村万蔵に師事。早稲田大学文学部卒業。「万作の会」主宰。軽妙洒脱かつ緻密な表現のなかに深い情感を湛える、品格ある芸は、狂言の一つの頂点を感じさせる。国内外で狂言普及に貢献。ハワイ大・ワシントン大では客員教授を務める。狂言の技術の粋が尽くされる秘曲『釣狐』に長年取り組み、その演技で芸術祭大賞を受賞したほか、紀伊國屋演劇賞、日本芸術院賞、松尾芸能賞、紫綬褒章、坪内逍遥大賞、ベストファーザー賞、朝日賞、旭日小綬章、中日文化賞、ジャパン・ソサエティ賞、2025年3月NHK放送文化賞等多数の受賞歴を持つ。『月に憑かれたピエロ』『子午線の祀り』『秋江』『法螺侍』『敦―山月記・名人伝―』等、狂言師として新たな試みにもしばしば取り組み、現在に至る狂言隆盛の礎を築く。
1966年生。祖父・故六世野村万蔵及び父・野村万作に師事。重要無形文化財総合指定保持者。東京藝術大学音楽学部卒業。「狂言ござる乃座」主宰。国内外で多数の狂言・能公演に参加、普及に貢献する一方、現代劇や映画・テレビドラマの主演、舞台『敦―山月記・名人伝―』『子午線の祀り』能狂言『鬼滅の刃』『ハムレット』など古典の技法を駆使した作品の演出で幅広く活躍。現在の日本の文化芸術を牽引するトップランナーのひとり。94年に文化庁芸術家在外研修制度により渡英。芸術祭新人賞・優秀賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞、朝日舞台芸術賞、紀伊國屋演劇賞、毎日芸術賞千田是也賞、読売演劇大賞最優秀作品賞、観世寿夫記念法政大学能楽賞、松尾芸能賞大賞、2024年5月坪内逍遥大賞を受賞した。石川県立音楽堂アーティスティック・クリエイティブ・ディレクター。東京藝術大学、日本大学芸術学部客員教授。(公社)全国公立文化施設協会会長。
1999年生。野村萬斎の長男。祖父・野村万作及び父に師事。慶応義塾大学法学部卒業。能楽協会会員。3歳の時に『靱猿』で初舞台後、子方として国内外で多数の舞台に出演、修業を続け、『三番叟』『奈須与市語』『釣狐』を披く。世田谷パブリックシアター『ハムレット』、能狂言『鬼滅の刃』で重要な役を演じ、活動の場を広げている。朝日カルチャーセンターや全国各地の狂言ワークショップで講師を勤め、狂言の普及にも力を注いでいる。
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