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彩の国さいたま芸術劇場 |

演劇

2021年2月さいたまゴールド・シアター次回公演決定!

2020年10月01日

 2021年2月、さいたまゴールド・シアターによる、およそ3年半ぶりとなる本公演が小ホールで上演されることが決まった。脚本・演出を務めるのは2010年の第4回公演『聖地』を書き下ろした松井周。自身が主宰する演劇ユニット「サンプル」を中心に、外部公演への脚本提供や演出、小説やエッセイの執筆、芸術祭への参加など多方面で活躍する松井は、ある状況に置かれた現代の家族や集団を描きながら、能動的に行動しているようで実は受動的に何かを選択させられ、動かされている「自我のない動物」としての人間のあり様を提示してきた。ゴールド・シアターへの書き下ろし作品となった『聖地』では、安楽死法が施行された近未来、日本のとある高齢者施設を舞台に、社会に居場所を失った高齢者たちの怒りや悲哀をリアリスティックに描いた。新型コロナウイルス感染症の終息が未だ見通せない状況下で行われる次回公演では、この『聖地』を大幅にアレンジし、登場人物たちが高齢者施設を舞台にあるテーマについて討論を繰り広げるシンポジウム形式の演劇づくりに挑戦する。「終活」という言葉が広がり始めた初演から10年を経て、「老い」や「死」のあり方についてさらに切実に問いかける作品となるだろう。

 


脚本・演出 松井 周より

 

 

 「あなたは生きてる価値がない」という言葉がSNS に溢れる時代。そんな言葉に負けまいと思っても、次は「人に迷惑をかけないで、自分のことは自分でなんとかしよう」なんて言葉に捕まってしまう。『聖地』初演(2010)は「いらないもの」とされた老人たちが抵抗を試みる話だ。しかし、それは震災前の「もしも」の感覚だ。しかし今、事態は「まさに」だ。じゃあ、どんな抵抗があり得るのか?あれ?苦しい。けれど、抜け道はあるはずだと蜷川さんを思い浮かべながら進んでいこう。