Vol.114
2025年4月号
埼玉会館
2023年11月
13日(月)10:30/14:30/18:30
【問い合わせ先】 埼玉映画ネットワーク048-762-9407
※前売券なし・当日現金支払いのみ・全席自由・各回入替制・整理券制
新作を発表するたびに、心待ちにしていた映画ファンを、全く違う世界へと誘うフランソワ・オゾン。今やフランス映画界のトップにして最先端に立つオゾン監督が、初めて実話に基づいた物語に挑む。
ヨーロッパを震撼させた神父による児童への性的虐待事件の真相に迫った実話に基づく作品。公開にあたっては、事件の裁判が係争中ということもあり、渦中の神父から上映差し止めを訴えられた、オゾンの華麗なるキャリアでは前代未聞の事態へと発展した話題作である。2016年1月に捜査が開始された「プレナ神父事件」は、ある一人の告発がきっかけで80人にも上る証言が集まり、2020年3月の一審で、プレナに禁固刑5年が求刑された。
本作の物語は、20年、30年経っても、なお性的虐待のトラウマに苦しむ男たちが、告発するまでの<葛藤>と、告発したことによる周囲との軋轢という<代償>、それでも告発によって確かに生まれた<希望>を紡ぎだす。あらためて男女の差なく人生を破壊する性的虐待という暴力の恐ろしさと、そこから再生していく人間の力強さ、そしてそれを支える家族の愛が描き出され、まさに人間という存在の<光と闇>が、ここにはあるといえるだろう。
オゾンはこれまでのスタイリッシュな映像と、挑発的かつ幻想的な作風を封印。子供時代の健やかであるべき日々を奪われた被害者たちの魂の慟哭に寄り添いながら、彼らが人間としての尊厳を取り戻す戦いを。緻密かつ緊張感の漂う演出で描き上げた。
ベルリン国際映画祭では銀熊賞(審査員グランプリ)の栄誉に輝き、本国フランスで公開されるやいなや、心を震わせるヒューマンドラマとして絶賛され、91万人を動員する大ヒットを記録した。
わが国でも奇しくも現在、同様の児童に対する性的虐待事件が社会問題となっているが、本作を見ることで、なぜ、オゾンは本作をフィクションで撮ったのか?最後に映し出された男たちの瞳の中に表れるオゾンからの鋭い問いかけと深いメッセージに、思いを馳せるいい機会となるのではないだろうか。
「君もプレナ神父に触られた?」…時は2014年、その一言がすべての始まりだった。
フランスのリヨンに妻と5人の子供たちと暮らす、40歳のアレクサンドルは、同じボーイスカウトにいた知り合いからそう尋ねられ、プレナ神父から受けた性的虐待をまざまざと思い出す。あろうことか、神父が今も子供たちに聖書を教えていることを知ったアレクサンドルは告発を決意する。
だが、最初に相談したバルバラン枢機卿は、処分を求めるアレクサンドルに同意しながらも、いつまでもプレナを裁こうとしない。不信感を募らせたアレクサンドルは、自分の事件は時効だが、他にも多くの被害者がいるはずだと、プレナ神父に対する告訴状を提出する。
警察が捜査に動き出したことで、1991年に枢機卿宛に届いた、プレナ神父による息子への行いを非難するははおやの手紙が発見されるなど、事態は動き出す。はじめは表に出ることに躊躇していた被害者たちも、やがて名乗りをあげるようになり、「沈黙を破る」と名付けられた被害者の会の記者会見が開かれるに至る。
教会も社会的に対応を迫られる中、プレナ神父の罪を認めつつも、なおも自分たちの責任問題は巧みにかわそうとしていた。
アレクサンドルなど被害者たちは信仰と告発の間で葛藤しながら、沈黙を破った代償とも戦わなければならなかった!果たして、彼らが人生をかけた告発の行方は….
日時 | 2023年11月 |
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会場 | 埼玉会館 小ホール |
作品情報 | 【監督・脚本】 フランソワ・オゾン 【出 演】 メルヴィル・プポー、ドゥニ・メノーシェ、スワン・アルロー、ジョジアーヌ・バラスコ、エレーヌ・ヴァンサン ほか
(2019年/フランス/137分) |
主催 | 特定非営利活動法人埼玉映画ネットワーク |
提携 | 埼玉会館 |
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料金 (税込) |
【全席自由】 |
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