2023年9月
12日(火)10:30/14:30/18:30
【問い合わせ先】 埼玉映画ネットワーク048-762-9407
※前売券なし・当日現金支払いのみ・全席自由・各回入替制・整理券制
オードリー・ヘプバーンは主演に大抜擢された『ローマの休日』(1953 年)で、若干 24 歳にしてアカデミー賞を受賞し、世界で最も偉大なミューズの一人となった。一世代に一人と言われた圧倒的な美貌、そしてハリウッド黄金期の伝説的スターと称されたオードリー。彼女の独自の流儀とユベール・ド・ジバンシィとの先駆的なコラボレーションは今も人々にインスピレーションを与え続けている。スクリーンの妖精、永遠のファッション・アイコン、人道活動家と、今も朽ちることのない様々なイメージと足跡を残して、63 歳の若さで急逝したオードリー・ヘプバーンは、本当はどういった人物だったのだろうか?
生前はあまり自分自身については語りたがらなかったオードリーだったが、映画界を離れ、ユニセフの親善大使として世界の紛争地域を飛び回るようになってからは、自分が表に出ることで飢えた子供たちに世界の目が向けば本望と考え、積極的に取材を受けるようになった。
オードリーファンはそこで初めて、ナチス占領下のオランダで過ごした少女時代の記憶や、生涯追い求めた家庭の大切さ、ハリウッドデビュー以降、映画の現場でいかに巨匠たちと向き合ったか等、聞きたかったことの多くを、伝聞ではなく、本人の言葉を介して知ることになる。
1993 年にオードリーが旅立って早 30 年が過ぎ去ろうとしている今、製作された話題のドキュメンタリー『オードリー・ヘプバーン』は、これまで開示されてきたそれらの情報をほぼ全てカバーし、さらに、オードリーが決して語ろうとしなかった両親とナチスの関係にも言及している。
監督のヘレナ・コーンは同じサロン・ピクチャーズの下で、アルファ・ロメオやフェラーリをデザインしたカーデザイナー、フランク・ステファンソンの作品と人生を振り返る『Chasing Perfect(原題)』2019 年)で長編映画デビューを果たした気鋭の映像作家。コーンはオードリーの個人的な人生体験や少女時代から夢見ていたバレエの愛を主軸に据え、さらに、これまであまりメディアに登場しなかった縁の人々のコメントを随所に折り込みながら、ジグソーパズルのパーツを一つ一つ丁寧に埋めて行く。
コーンは製作意図についてこう語る。「オードリーは恐怖や憎しみに溢れる世界で愛の重要性のために立ち上がり、今でも何らかの形で戦い続けています。私がこの映画を作りたかった理由は、オードリーは英雄だと思ったからです」と。英雄とは、愛に恵まれなかったオードリーが、その愛を飢餓に苦しむ子供たちに届けるために晩年を捧げた、その行動を指している。
そして、その製作意図を補足する形で登場するのがコメンテイターたちだ。様々なオードリーのエピソードが語られてゆき、それらは大変興味深いものとなっている。
劇中の要所要所にはバレリーナを夢見ていたオードリーの半生を表現するために、時代毎に 3 人のダンサーが起用されている。少女時代をキーラ・ムーア、女優時代を英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパル、フランチェスカ・ヘイワード、晩年を英国ロイヤル・バレエ団とアメリカン・バレエ・シアターで活躍したアレッサンドラ・フェリが各々受け持って、監督のイメージ作りに貢献している。
人間オードリーの強靭な精神力にも迫る本作『オードリー・ヘプバーン』は、美しさの裏側に強さを隠した英雄の貴重なバイオグラフィーと言えるのではないだろうか。
幼少期に経験した父親による裏切り、ナチス占領下のオランダという過酷な環境で育った過去のトラウマ、奪われたバレエダンサーへの夢、幾度の離婚…劇中では、過去の貴重なアーカイブ映像とともに、近親者によって語られるインタビューによって、これまで隠されてきたオードリーの一人の女性としての姿が描き出されていく。
晩年は、ユニセフ国際親善大使として自身の名声を善のために尽くし、慈善活動を通して大勢の人たちに癒しと救済をもたらした。本作では、リチャード・ドレイファスやピーター・ボクダノヴィッチ監督ら俳優時代の仲間、そして息子や孫、家族ぐるみの友人など、プライベートに迫るインタビュー映像、貴重な本人の肉声によるインタビューがふんだんに盛り込まれ、愛情と寛容の力の証として存在する、極めて特別なひとりの女性の姿を、鮮やかにスクリーンによみがえらせている。
日時 | 2023年9月 |
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会場 | 埼玉会館 小ホール |
作品情報 | 【監 督】 ヘレナ・コーン 【出 演】 オードリー・ヘプバーン、ショーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの長男)、エマ・キャスリーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの孫)、クレア・ワイト・ケラー(ジバンシィの元アーティスティックディレクター)、ピーター・ボクダノヴィッチ(アカデミー監督賞ノミネート)、リチャード・ドレイファス: アカデミー賞受賞俳優 (『アメリカン・グラフィティ』、『ジョーズ』) ほか 【振 付】 ウェイン・マクレガー 【バレエダンサー】 アレッサンドラ・フェリ、フランチェスカ・ヘイワード、キーラ・ムーア
(2020年/イギリス/100分) |
主催 | 特定非営利活動法人埼玉映画ネットワーク |
提携 | 埼玉会館 |
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料金 (税込) |
【全席自由】 |
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