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  • 彩の国シネマスタジオ 埼玉会館上映会 『モロッコ、彼女たちの朝』※前売券はございません。当日現金払いのみ。

彩の国シネマスタジオ 埼玉会館上映会
『モロッコ、彼女たちの朝』

2025年12月
26日(金)10:30/14:30/18:30

 

【問い合わせ先】 埼玉映画ネットワーク048-762-9407

 

※前売券なし・当日現金支払いのみ・全席自由・各回入替制・整理券制

 

◎14:30の回終了後、アフターイベント開催予定!

モロッコ発の長編劇映画の舞台は、カサブランカの 旧市街メディナにある小さなパン屋
出会うはずのなかった女たちは、パン作りを通じて新しい自分を見つけていく

社会の片隅で生きる彼女たちが作るパンは、幸せの味がする
モロッコの美しい光が包み込む始まりの物語

臨月のお腹を抱えてカサブランカの路地をさまようサミア。モロッコでは未婚の母はタブー。仕事も住まいも失い、故郷で暮らす両親に頼ることもできない。路上で眠るサミアを家に招き入れたのは、パン屋を営むアブラだった。アブラは夫の死後、娘のワルダとの生活を守るために、心を閉ざして働き続けてきた。伝統的なパン作りが得意でおしゃれ好きなサミアの登場は、孤独だった親子に光をもたらしてゆく——。

異国情緒あふれるモロッコは、これまでにも『知りすぎていた男』(56)『シェルタリング・スカイ』(90)など多くの名画の舞台となってきたが、それらは外国人がモロッコを訪れる設定。本作はモロッコで暮らす女性2人が主人公で、モロッコ製作の長編劇映画として日本で初めて劇場公開となる。入り組んだ旧市街(メディナ)の住居にカメラが入り込み、たくさんのクッションで飾られたソファや、色鮮やかなタイルが張り巡らされたリビング、地元民が利用する共同窯など、旧市街の奥でひっそりと営まれる庶民の生活を見せてくれる。

ふたりが作る焼きたてのパンとスイーツも注目だ。モロッコの主食はパンということもあり、様々なパンが登場する。ご飯的存在の丸いホブスにハルシャ、軽食のムスンメン。お祭りのお楽しみのガゼルホーンやフェッカ。そして、アブラがサミアの腕を認めるきっかけとなった繊細な手作りの味、ルジザ。生地を滑らかに捏ねあげて成形する官能的な手つきに、揺れる感情を練り込む演出も見逃せない。

悲しみと諦めにとらわれていた2人が新しい道へ踏み出す物語を紡いだのは、マリヤム・トゥザニ監督。大学卒業後に家族で世話をした未婚の妊婦との思い出をもとに作り上げたという。その妊婦は妊娠したとたんに結婚を約束していた相手に逃げられ、家族や友達に秘密で出産を決意。ただし、“普通”の女性に戻るために、出産したらすぐに養子に出す。そう覚悟していたはずの彼女が、湧き上がる母性と厳しい現実の間で葛藤する姿が、若き日の監督の心に焼き付いたという。

 


カンヌ「ある視点部門」正式出品、アカデミー賞モロッコ代表に女性監督作として初選出!
新鋭が発信する女性の世界とは

婚外交渉と中絶が違法のモロッコでは、未婚の母は社会保障を満足に受けられない。また、婚姻関係における女性の法的地位の低さもあって、夫と死別したり離婚した女性が社会的地位の低さに苦しんでいるのが現実だ。トゥザニ監督は家父長制が根強いモロッコで、 普通からはみ出してしまった女性を正面から取り上げ、本国で議論を巻き起こした。メッセージ性と批判的な眼差しを下敷きにする物語だが、トゥザニ監督の語り口は静かだ。

カラヴァッジョ、フェルメール、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールなどの絵画に影響を受けたと公言する監督は、サミアとアブラの心と関係の変化を静謐な光で表現する。昼の陽射しに柔らかく照らされる様はフェルメールの光の表現を、ほの暗いリビングでランプの光で人物が浮かび上がる様はカラヴァッジョの明暗の美を想起させる。

モロッコの女性が直面する苦悩と自立を描いた物語は、陰影が効いた映像美も相まって、2019 年のカンヌ国際映画祭「ある視点部門」に正式出品、「クィア・パルム」にノミネート。これを皮切りに、世界中の映画祭でも喝采を浴び、現在までにアメリカ、フランス、ドイツなど欧米を中心に公開された。 2020 年のアカデミー賞国際長編映画部門には、モロッコ映画史上初の女性監督作として出品されと、長編デビュー作ながら快進撃が続いている。

アブラ役には『テルアビブ・オン・ファイア』(18)『灼熱の魂』(10) など、ヨーロッパを拠点に活躍するルブナ・アザバル。サミア役には日本初紹介のニスリン・エラディ。モロッコでは出演作が続く人気女優で、本作の役作りのために体重を増やした。衝突する 2 人を取り持つ明るいワルダには、映画初出演の子役ドゥア・ベルハウダ。女性であることを忘れた母アブラと母性を拒否するサミアが心を通わせたとき、暗闇に光が差し込む。世界は広く、人生は続く。自分らしく生きると決めた彼女たちの、かすかな笑顔に胸が熱くなる人生賛歌。

 

 


ディレクターズノート

『モロッコ、彼女たちの朝』は人生につまずき、逃避や拒絶に救いを求める2人の孤独な女性の物語です。2人はお互いに向き合い、思いやり、支え合うことで次第に心を通わせていきます。

(中略)

イメージは最初からできていました。あとは登場人物の物語をしっかり伝えること、つまり彼女たちの真の姿に極力アプローチし、それを表現することがとても重要でした。物語はシンプルにするよう努めました。登場人物の内面の動きを、小細工抜きでダイレクトに観客に伝えたかったからです。

この作品は2人の女性の物語です。2人の出会い、そして彼女たちが変わっていく様子にフォーカスしたいと思いました。そのため登場人物たちを、劇場の舞台のように窓が1つあるだけの閉ざされた空間で撮影しました。また、感情を説明する脚本のト書きも極力シンプルにしました。こういったシンプルなアプローチと私が探求するものには、深いつながりがあると信じているからです。

撮影監督のヴィルジニー・スルデージュと私は、シンプルで基本的な撮影に努めました。そうすることでアブラとサミアの関係の深さを描けますし、じっくりと時間を使えて、登場人物も自分たちのリズムを作ることができます。

私のゴールは彼女たちの表現を、カメラを通じて伝えることですが、時には一歩下がって観察したりもします。彼女たちの人生や内面を引き出すのです。そのため、私は静的な映像と動的なシーン(時に、かなりアグレッシブで不安定)を交互に使いました。彼女たち自身が変化するにつれて、2人の動き(出会いや別れの舞台となるメインセットでの彼女たちの動き)もまた変化していきました。

中庭や寝室では、絆が深まり空気がほぐれるにつれて、より明るい光が差し込むようにしました。光はこうして舞台のステージと同様に、静かにさりげなく登場人物たちの心の旅を映し出すのです。

本作は雰囲気や感覚の映画でもあります。映像と音を通して、私たちはこの2人の女性の体に入り込みます。肉感的に撮られた、パンをこねるシーンもその一例です。彼女たちの魂に入り込み、些細な動きの一つ一つを随所に見せようとしました。肉体で覆われた女性の内側を、そして女性の真の姿をスクリーンに映し出し、沈黙を破りたいと思いました。

本作の物語の核もいつの間にかそっと私の中に入り込み、何年もかけて大きくなりました。そして今、それを映画にする準備ができたのです。

※海外プレスより

あらすじ

臨月のお腹を抱えてカサブランカの路地をさまようサミア。イスラーム社会では未婚の母はタブー。美容師の仕事も住まいも失った。ある晩、路上で眠るサミアを家に招き入れたのは、小さなパン屋を営むアブラだった。アブラは夫の死後、幼い娘のワルダとの生活を守るために、心を閉ざして働き続けてきた。

パン作りが得意でおしゃれ好きなサミアの登場は、孤独だった親子の生活に光をもたらす。商売は波に乗り、町中が祭りの興奮に包まれたある日、サミアに陣痛が始まった。生まれ来る子の幸せを願い、養子に出すと覚悟していた彼女だが……。

公演インフォメーション

日時

2025年12
26日(金)10:30/14:30/18:30

会場

埼玉会館 小ホール

作品情報

監督・脚本:マリヤム・トゥザニ

2019年/モロッコ、フランス、ベルギー/アラビア語/101分/1.85ビスタ/カラー/5.1ch/英題:ADAM/日本語字幕:原田りえ

配給:ニューセレクト、ロングライド

配給:ロングライド

©︎ Ali n’ Productions – Les Films du Nouveau Monde – Artémis Productions

主催

特定非営利活動法人埼玉映画ネットワーク

共催

公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団(埼玉会館)

チケットインフォメーション

料金
(税込)

【全席自由】

一般1,100円/小中高生600円*(いずれも税込)

※前売券なし・当日現金支払いのみ・各回入替制・整理券制

*学生証を確認する場合がございます。

 

オンラインチケット予約
SAFメンバーズ会員の方 一般の方

※当日券はご予約いただけません。

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