豊かな残響を誇る音楽ホールの客席に座ると、奏者の奏でる音楽と各楽器の音色は、ひときわ優美な響きの衣を纏い、全身を包み込みます。その極上の空間に身を浸し没入して演奏を楽しむ、まさに至福のひと時です。特に思い出深いのは、2019年10月佐藤俊介とオランダ・バッハ協会管弦楽団の演奏です。半年間の入院闘病生活後に久しぶりに音楽ホールで聴いた極上のバッハには、体の芯まで揺さぶられるような深い感動を覚えました。また、私は演奏者としても音楽ホールを長年愛用しています。所属する浦和フィルハーモニー管弦楽団はさいたま市で活動するアマチュアオーケストラで、数多くの演奏会を音楽ホールで行い、多くのお客様にお楽しみいただいて来ています。中でも2001~05年に開催された「彩の国シューベルト・シリーズ」で交響曲全9曲を演奏したことは忘れられません。ここで磨いた古典音楽のアンサンブルはその後の活動の礎となりました。