Vol.103
2023 2月-3月
埼玉会館
2023年1月
27日(金)10:30/14:30/18:30
※18:30の回は、新型コロナ感染症拡大の状況により、上映中止となる場合がございます。来場前に電話またはホームページ等でご確認ください。
【問い合わせ先】 埼玉映画ネットワーク048-762-9407
※前売券なし・当日現金支払いのみ・全席自由・各回入替制・整理券制
いつもよりちょっと贅沢でおいしい料理を楽しみながら、心ほっこりのひと時を過ごす家族や恋人たち。そんな”レストラン”のイメージを根底から覆す、驚きに満ちた映画が誕生した。イギリスの新鋭、フィリップ・バランティーニ監督が2019年に発表した自身の短編を、新たに長編化したのが『ボイリング・ポイント/沸騰』だ。
ロンドンに実在するレストランを借り切って撮影を行った本作には、映画ファンなら誰もが興味をそそられるであろう際立った特徴がある。何と90分間の全編ワンショット!巨匠アルフレッド・ヒッチコックの『ロープ』や、まだ記憶に新しい『バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)』、『1917命をかけた伝令』のような疑似ワンショットではなく、編集なし、CGなしの正真正銘のワンショットだ。全編ワンショットの手法が生み出す最大の効果は、観客にその場の臨場感や緊張感をダイレクトに伝え、リアルタイムで奔走する予測不能のストーリー展開を体感させることにある。シェフとして12年間働いた異色の経歴を持つ監督が、レストランのリアルな内幕をジェットコースター感覚のスリルをみなぎらせて演出。前半から異様なテンションに貫かれた映像世界は、次々と巻き起こるトラブルに追いつめられるアンディの精神状態に呼応してヒートアップし、クライマックスの”沸騰点”へと突き進んでいく。
また。この超一流のエンターテインメントでは、レストラン内を縦横無尽に動き回るカメラワーク、俳優たちの即興演技がもたらす圧倒的な臨場感に加えて、私たちが生きる社会の縮図ともなっているレストランを舞台に、激しくうねるサスペンスフルな人間模様、鋭い社会性をはらんだ心揺さぶるドラマが描かれており、本作の稀有な魅力のひとつとなっている。パワハラ&セクハラを含む職場での様々な軋轢、労働量に見合わない賃金の低さ、人種差別、さらには精神不安定、依存症といった問題が展開。見方を変えれば本作には、他者とのコミュニケーションの大切さなどの労働環境を改善するためのヒントが詰まっていて、仕事と私生活のバランスが崩壊したアンディの苦悩が反面教師となるだろう。これこそが飲食業界をよく知る監督が、この映画を撮ろうとした大きな動機でもあった。
主役を務めたのは『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』『アイリッシュマン』のスティーヴ・グレアム。ただならぬ気迫と悲哀を込めて体現し、BEFTAの主演男優賞にノミネートされた。
余談ではあるが、撮影は新型コロナ・パンデミックの最中に行われた。その影響で撮影期間が突如短縮させられる危機に見舞われ、ロンドンがロックダウンとなる前日に撮影を完成させなければならないという苦難に立たされたそうだ。「どうしても今日完成させなきゃ、と現場の緊張感がさらに高まった」という証言からもわかるように、コロナ禍という逆境が、本作に更なるスリルや臨場感もたらし、スタッフとキャストの団結力を高めることになったのではないだろうか。
ロンドンで指折りの人気を誇る高級レストランのオーナーシェフ、アンディ・ジョーンズは、今まさに人生の崖っぷちに立っていた。
つい最近、妻と別れて家を出たアンディーは、事務所を寝床代わりにしていて心身ともに絶不調の状態だ。おまけに、最愛のひとり息子ネイサンとの約束をうっかりすっぽかしてしまい、せめて電話で謝らなくてはと考えているところだった。
しかしアンディには、その時間の余裕すらない。
今日は一年で最も賑わうクリスマス直前の金曜日。彼の店には予約がぎっしり入っていて、通常よりはるかに大勢の客をもてなさなくてはならないのだ。しかも、スタッフが開店準備に奔走している店内に入ると、何かとうるさい衛生監視官が抜き打ち検査にやってくるやら、食材の発注を忘れたことに気づいたところに、アンディの元同僚で因縁浅からぬライバルでありテレビ料理番組で人気者のセレブシェフ、アリステアの来店予約を耳にするなど、いきなり嫌な問題に直面し、開店前から胸騒ぎを覚える有様だった。
18時過ぎに店がオープンすると、店内はたちまち満席となり、厨房に怒涛のオーダーが舞い込んでくる。そんな中、フロアでも、奥の厨房でも次々とトラブルが・・・・。
心身ともに限界点に達したアンディは、この波乱に満ちた一日を切り抜けられるのか?!
ついには、家族の愛もスタッフの信頼も失ってしまったアンディ!なぜ、こんなことになってしまったのか?もはや何も残されていないアンディには、それでもまだ、かけがいのない家族に伝えたいことがあったのだが・・・・・・・・。
日時 | 2023年1月 ※18:30の回は、上映中止となる場合がございます。来場前に電話またはホームページ等でご確認ください。 |
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会場 | 埼玉会館 小ホール |
作品情報 | 【製作・監督・脚本】 フィリップ・バランティーニ 【出 演】 スティーヴン・グレアム、ヴィネット・ロビンソン、レイ・パンサキ、ジェイソン・フレミング、タズ・スカイラーほか
(2021年/イギリス/95分) |
主催 | 特定非営利活動法人埼玉映画ネットワーク |
提携 | 埼玉会館 |
必ずお読みください | ◆マスクを着用されていない方はご入場いただけません。会場内では常時マスクの着用をお願いいたします。 ◆受付時に検温を実施します。37.5度以上の熱があった場合は、入場をお断りさせていただきます。予めご了承ください。 ◆新型コロナ感染症拡大防止の対策のため、入場にあたってお名前と連絡先の記入をお願いしています。 ◆体調のすぐれない方もご入場をお控えください。 ◆こまめな手洗い、手指消毒、「咳エチケット」にご協力ください。 ◆客席内、ロビー等での歓談はお控えください。 ◆スタッフは検温を実施し、健康状態を確認しています。異常がある場合は業務につきません。また、手指消毒を実施しています。 ◆会場内は、法令にもとづき機械設備による十分な換気が行われています。
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料金 (税込) |
【全席自由】 |
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