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55歳以上の団員による《さいたまゴールド・シアター》で、実生活者として生きてきた人々の個人史をベースとした、新しい表現に挑戦してきた蜷川幸雄が、今度は若手俳優の育成に着手する。きっかけとなったのは、ゴールド・シアターの第2回公演『95kgと97kgのあいだ』(2008年5月)。総勢80名以上の老若男女が登場するこの作品で、ゴールド・シアターと若者の2つの集団が、お互い刺激を受けて活性化していることを実感したという。同世代演劇にはない世代間の刺激が、2つの集団にとってだけでなく、演劇界全体の活性化につながるのではないかと考えたのが、若者の集団を作ろうとした着想だ。そして、今まで多くの若手俳優達と仕事をしてきた蜷川だが、その度にこれからの日本の演劇界に足りないものを痛感していたともいう。それは、「世界には、荒んだ社会的環境のもとで荒んだ身体、荒んだ演技を育んで、強力な存在感を持っている俳優がたくさんいる」中で、日本には自立したクリエイティブな俳優が少ないということである。そして、演劇的教養の世界レベルとの差、それは、自分たち上の世代が、若者に教えてこなかった責任もあるという。

さいたまゴールドシアター第2回公演
「95kgと97kgのあいだ」 2008年5月
撮影:宮川舞子

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