蜷川幸雄が、すでに目覚ましい成果を挙げている《さいたまゴールド・シアター》に並ぶ一大プロジェクトを立ち上げた。次代の日本演劇界を支える人材として、1,225名ものオーディション応募者から蜷川が選び抜いたのは、多彩な個性がひしめき合う44人のエネルギッシュな若者たちだ。ありきたりな枠組みを打破し、蜷川とともに新しい時代の演劇を築かんとする彼らの名は、新演劇集団《さいたまネクスト・シアター》。

新しい演劇を模索する彼らの最初の挑戦となるのが、かつて日本演劇界の常識を覆した傑作『真田風雲録』だ。己の生き方を貫いた若者たちの鮮烈なる青春が、初演から約半世紀の〈現在を生きる若い俳優たち〉のそれと重なり合って甦る。彼らのエネルギーを受け止めるのは、沢竜二、横田栄司、原康義、山本道子、妹尾正文といった蜷川作品常連の頼もしい客演陣だ。

また、この伝説的戯曲を21世紀の〈完全新作〉として再生させたいという蜷川の意気込みにより、朝比奈尚行書き下ろしの新劇中歌が作品に新たな命を吹き込む。さらに、本作のために、蜷川は、彩の国さいたま芸術劇場《第5のステージ》として、大ホール舞台上に約300席の仮設劇場(インサイド・シアター)を出現させる。無名の若手俳優たちの熱気と進取の意気渦巻く新空間だ。 とことん型破りにして普遍の伝説的名作に挑む《さいたまネクスト・シアター》が、演劇界に新たな時代を切り開く!!

撮影:宮川舞子
才能ある、無名の若者が、演劇を通して世界や人間と繋がろうとするとき、現在のテレビ文化の圧倒的支配から逃れて、俳優としての力量そのものによって、すべてが決定される「演劇的磁場」とでも呼ぶべきものをつくることは、可能なのだろうか? これが《さいたまネクスト・シアター》と共に歩もうとする僕の最大の期待である。
平均年齢70.5歳の高齢者による《さいたまゴールド・シアター」と平均年齢24.8歳の《さいたまネクスト・シアター》は彩の国さいたま芸術劇場の演劇の両輪である。
僕たちの疾走が始まる!
彩の国さいたま芸術劇場 芸術監督
蜷川幸雄