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彩の国さいたま芸術劇場 |

音楽

【1月27日(土)開催 ピアノ・エトワール・シリーズVol.33】パヴェル・コレスニコフ インタビュー

2018.1.17

 

「ピアノ・エトワール・シリーズ」に登場する、ロシア出身の若きピアニスト、パヴェル・コレスニコフ。昨年10月にインタビューを行い、「埼玉アーツシアター通信」Vol.72に記事を掲載しましたが、誌面の都合上カットせざるをえなかったユニークかつ率直な話をフルにお届けしたいと思い、ロング・バージョンのインタビューをホームページに掲載します。まもなく来日するコレスニコフの素顔と音楽家としてのこだわりをぜひ感じ取ってください。

聞き手◎後藤菜穂子(音楽ライター)

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――コレスニコフさんは、今回何度目の来日ですか?

K 2度目です。前回は2013年、大阪のいずみホールでのコンサートに出演したのですが、その時はエレーヌ・メルシエさんの代役として急遽来日しました。オーギュスタン・デュメイさんが関西フィルと企画したコンサートで、フランクのヴァイオリン・ソナタとショーソンのコンセール(ヴァイオリン、ピアノと弦楽合奏のための作品)を弾きました。ですから日本でのソロ・リサイタルは、今回の彩の国さいたま芸術劇場が初めてになります。

 

――デュメイさんとはそれまでにも共演されたことはありましたか?

K 実際に共演したのは大阪が初めてだったのですが、私は2012年からベルギーにあるエリザベート王妃音楽院シャペルという学校でマリア・ジョアン・ピリスさんに師事していて、デュメイさんもそこで教えていらしたので、すでに知り合っていました。しかも私は彼のヴァイオリンの生徒とデュオを組んでいたので、レッスンを受けたこともありました。

 

――エリザベート王妃音楽院シャペルで、ピリスさんからはどんなことを学ばれたのでしょうか? たとえば、コレスニコフさんの弾くショパンには、ピリスさんの影響を感じるのですが。

K たしかに私のショパンはピリスさんからの影響もあると思いますが、それと同時に、20世紀前半に活躍した往年のピアニストからの影響もあると思います。むしろピリスさんからは、ショパンに限らず、もっと普遍的な影響を受けていると思います。

 

――具体的にはどんなことでしょうか。

K ピリスさんから学んだもっとも重要なことは、観客といかにコミュニケーションを取るべきかということです。言葉で説明するのは難しいのですが、舞台の上で音楽を観客に伝える上で自分がどんな立ち位置を取るべきか、すなわち、音楽を聴衆に届けるために自分がどんな存在であるべきか、ということです。
ピリスさんを見ていて感嘆するのは、ふだんはきわめて控えめな方ですが、とても芯は強く、舞台の上ではおそらく日常の彼女以上に心を開いて演奏していると思うのです。こうした彼女の姿勢に大きな影響を受けてきました。
ピアニストのリヒテルは「自分は作品を映す鏡にすぎない」と語ったと言われますが、私はその意見には反対です。実際、リヒテル自身、単なる「鏡」以上の存在でしたし、演奏家の立場というのはもっと能動的なものだと思います。もちろん、だからといって自分を作品に押し付けてよいわけでもありません。
私にとっては、どんな曲を演奏するのも、一種の室内楽だと思っています。なぜなら、演奏とはつねに作曲家というもう1人との対話だと思うからです。私は演奏することで、作曲家との双方向の対話を交わしたいと思っています。自分が一方的に主張するのではなく、1歩下がって譲ることもあれば、逆に自分が会話に積極的に貢献しなければならないときもあります。そうした駆け引きは、室内楽と共通していると思います。したがって、作品を知れば知るほど、そして相手を知れば知るほど対話しやすくなります。もちろん、しやすい作曲家としにくい作曲家がいますが。

 

――たとえばショパンは対話しやすいほうですか?

K ショパンの場合は、マズルカやノクターンなどの小品だと対話しやすいです。逆に、ソナタや《バラード》、《幻想曲》など大規模で構造のしっかりした曲は難しく感じます。ショパン自身、小品のほうが楽に作曲しているように思えます。
対話に苦労するのはベートーヴェンですね。彼の作品でもユーモアのある曲だと心が通じるのですが、堅固な構造の曲はとても苦労します。ベートーヴェンは本当に人を圧倒する性格だと思います。それに対してショパンはもしかしたら僕のような性格だったのかもしれません。

 

――ではシューベルトは?

K シューベルトは大好きで、これまでけっこう弾いています――歌曲、ヴァイオリンの曲(《幻想曲》、ソナチネ他)、アルペジオーネ・ソナタ、《楽興の時》、《即興曲》作品90、ソナタ数曲など。それからピリスさんとデュオで、ピアノ四手のための《幻想曲》と「人生の嵐」も弾いたことがあります。
私の場合、シューベルトは伴奏をしている時にもっとも調和を感じ、ピアノ曲を弾く時のほうが苦労します。ピアノ・ソナタはシューベルト自身が形式と格闘したからそう感じるのかもしれませんが、《即興曲》や《楽興の時》などの小品でも難しく思うことがあります。たとえば《楽興の時》の第1番――とても表情豊かな曲なのに、いざ表現しようとするとするりと逃げていってしまう感じです。自分でもなぜかわからないのですが。
今回演奏する初期のイ短調のピアノ・ソナタは、彼のソナタの中では親しみやすい曲です。

 

――では、シューマンはいかがでしょうか?

K シューマンの曲は、深く知るためには時間がかかります。初めて弾いた時に曲をすっかり理解したような気になるのですが、それは実は幻想です。今回演奏する《ウィーンの謝肉祭の道化》も最初から波長が合い、シューマンのファンタジーや情緒的な面に深く共感したつもりだったのですが、次に演奏した時にはとても曖昧な曲に感じました。この作品の核には感情的に近づきにくい部分があって、それは演奏経験を重ねることによってしか到達できないのです。1年以上弾いてきましたが、今なお理想の表現を追い求めています。

 

――最後に、コレスニコフさんはたいへんお忙しいと思いますが、オフの時間はどのように過ごされていますか?

K 趣味はカメラです。現代の音楽家は演奏や練習だけではなく、つねに多くの雑事にも対応しなければならないのですが、写真を撮っている時だけはそういうことから離れて心静かに集中することができます。
オペラなどもよく観にいきますが、それは趣味ではなく仕事の延長になってしまいます。私はなんでも分析するのが好きなのですが、オペラを観ていても舞台で起きていることをつねに分析して、アーティストと観客との関係などについて学んでいます。もちろんオペラ自体も楽しんでいますが、娯楽として楽しむのとは少し違います。純粋な楽しみとしては、あとは親しい友人たちとでかけたり、食事をしたりすることですね。

 

――ありがとうございました。

 


 

「埼玉アーツシアター通信」Vol.72はこちらからお読みいただけます!(掲載P.10-11)

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