彩の国さいたま芸術劇場

ピアノ・エトワール・シリーズ Vol.10 三浦友理枝インタビュー


ピアノ・エトワール・シリーズ Vol.10
三浦友理枝 インタビュー

三浦友理枝
期待を集める「未来の巨匠」たちが、意欲的なプログラムで競演するピアノ・エトワール・シリーズ。
10人目に登場する三浦友理枝さんは、芯の通った透明感と、聴衆をとらえてやまないロマンティシズムが魅力のピアニスト。
9月の公演に向けて、インタビューいたしました。

彩の国さいたま芸術劇場には、初めてのご出演でいらっしゃいますね?
劇場には、どんなイメージをお持ちでしょうか?
さいたま芸術劇場さんでは長年、ピアニストのシリーズを続けていらしたので、いつか自分もその舞台に立てたらというあこがれがずっとありました。今回声をかけていただけて本当に嬉しいです。

今回、「ピアノ・エトワール・シリーズ」にご出演をお願いするにあたって、日本人のピアニストとしては珍しく、ポーランドの作曲家、シマノフスキに継続的に積極的に取り組んでいらっしゃる三浦さんには、シマノフスキを是非、プログラムに取り込んでいただきたい、というリクエストをいたしました。そもそも、シマノフスキに興味をお持ちになったきっかけは何だったのか、シマノフスキの音楽のどのようなところに魅力を感じているのか、など、お聞かせいただけますか?
普段はシマノフスキをプログラムに入れると「ちょっと難しいのでもう少し親しみやすい曲を…」と言われることが多いので、ホール側から「シマノフスキを入れて下さい」というリクエストを頂き鳥肌が立ちました(笑)。 私とシマノフスキの出会いは5、6年前になります。ロンドンの留学先のヴァイオリニストの友達から、急遽シマノフスキのヴァイオリン・ソナタの伴奏を頼まれたのがきっかけです。伴奏とは言い切れないくらいピアノパートの書法が充実しており、また深いロマンティシズムに心打たれました。

耳にする機会が少ないだけで、すぐに「難しい」と言われてしまうのはもったいないですね。今回のプログラムでは、そのシマノフスキにショパンとラヴェルの作品を組み合わせていらっしゃいますが、プログラムのコンセプトをお聞かせいただけますか?
シマノフスキの作風はショパンの影響の濃い前期、フランス印象派や神秘主義の入り交じった中期、ポーランドの民族音楽に傾倒していった後期と、時代によって別人のようにかわるのが特徴です。今回はプログラムの前半にショパンの最期の作品とシマノフスキの前期の作品、後半にフランスのラヴェルの作品とシマノフスキの中期の作品を並べました。ラヴェルとは直接のつながりはないものの没年が同じ(1837年)で、和音の響きの類似性などを耳から感じ取っていただければと思います。

そのなかでも、特に「ここは聴きどころ!」という点は?
プログラム最後の組曲《仮面》には1曲ずつタイトルがついています。初めて聴く方にはとらえにくい曲かもしれませんが、タイトルから豊かに情景を想像しながら聴いていただくと、ぐっと面白く聞こえると思います。

ところで、ロンドンから昨年夏に日本に戻っていらして、留学中に得た一番大切なことは何だと思いますか?
「自分が」どう思うのか、「自分が」何をしたいのか、を常に考えることを学びました。日本にいるときはまだまだ先生の要求に応えるだけで精一杯でしたが、徐々に音楽面での「自我」が芽生えたと思います。

今年はCDを2タイトルリリースし、日本での演奏会の回数も増え、本格的に演奏活動を始められたところだと思いますが、これから長い時間をかけて、どのような音楽家をめざしたいと思っていらっしゃいますか?
自分のステージでのパフォーマンスによって、会場にいらしたお客様が一生忘れられないような時間や空間を生み出せたらと思います。たとえそれが一瞬のことであっても、そういう非日常的なものを皆様と共有することが私の理想です。

9月5日の当劇場での演奏も楽しみにしております。どうもありがとうございました。