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(財)埼玉県芸術文化振興財団


INTERVIEW

「何度も観たくなるパワーをもった舞台」──原作者の美内すずえさんは前回の公演をこう語り、全部でなんと12回も観たという音楽劇『ガラスの仮面』。美内さんご自身も望んだ続編の上演を前に、募る期待感を熱く語る。
取材・文=沢美也子[演劇ライター] 撮影=西村次雄

12回も観た“ガラかめ”、パワー全開の続編にウキウキわくわく
一昨年、大好評を博した『ガラスの仮面』の続編が、ついに登場します。幻の名作『紅天女』を目指して、女優としてのステップを懸命に登っていくマヤとそのライバル亜弓、マヤに淡い恋心を寄せる桜小路優、上演権を狙う速水真澄、命をかけてマヤを育てる月影先生……。コミック史上に残る大長編の中から、今回は『奇跡の人』のエピソードを中心にお届けします。第1作目から続編へ、原作者の美内すずえさんにお話をうかがいました。
原作者として、初演の舞台にはどんな感想をおもちになりましたか?
『ガラスの仮面』は、アニメ、実写ドラマ、そして舞台と、いろいろな形になっているのですが、前回の舞台はいちばん漫画に近い雰囲気をもっていたと思います。それはすごく嬉しかったですね。漫画のファンもたくさん観に来てくださって、「違和感なく楽しめた」という感想が、私のところにたくさん寄せられました。私は、漫画を離れたら別物だと思っていて、一観客として観るのですが、12回も観てしまいました。大阪、九州も行きました。何度も観たくなるある種のパワーをもっていたからだと思います。

続編をつくるお話は、ずいぶん前からあったそうですが。
前回の初日が終わった時に、蜷川さんが「続編を」とおっしゃっていて、思わず「それなら『奇跡の人』をメインにしては」と言ってしまって。私自身も「続きを観たいな」と思いましたし、パッと『奇跡の人』が浮かんだんですね。(脚本の)青木豪さんにも、それはお話しました。とにかく長編なので、あまりダイジェスト版にすると、お客様もがっかりすると思うんですね。思い入れのあるシーンを大事にしている方も多いですから。メインになるところを絞って舞台にしていただいたほうがいいかなと思って。

今回、期待するところは?
第1作目の舞台で、最後に主人公が一人で歌うシーンがありました。「舞台の上では一人じゃない」という内容の歌で。あれが、舞台の台詞を飛び越えて、多くの人へのメッセージのように聞こえました。あのシーンで力づけられた人は多いと思うんですよ。この舞台化の企画が持ち上がった最初に、お願いしたのは、観終わった人たちが元気になって劇場を出る、そんな芝居にしてほしいということでした。そのお願いを蜷川さんは見事にかなえてくださっていました。ですから、今回も生きる元気が出る感じになれば嬉しいなと思っています。役者さんたちが一生懸命に生きている、皆がエネルギーを出し切っている舞台では、観客が知らないうちにエネルギーを受け取っているんですね。前回、それを強く感じましたし、今回も、きっとそうなると思っています。

蜷川さんの演出については、どんな期待を?
何が出てくるか楽しみにしています。前回、少しだけ稽古を見せてもらって、蜷川さんがダメ出しをするのを聞いていて、すごくよく分かるんですよ。漫画と舞台の違いはありますが、私も描いている時は、漫画上の演出をいつも考えているので。蜷川さんは舞台をどう面白く見せるか、観客をどう喜ばせるか、そういうことを非常に計算されている。もちろん蜷川さんは芸術家ですが、観客に対するサービス精神がいっぱいある方なんだなと嬉しかったですね。音楽劇にしたことも、とても成功していると思います。

出演者たちへのメッセージは?
楽しみに期待して待っています。本当にね、早く観たいと思っているんです。大和田美帆さん(マヤ)、奥村佳恵さん(亜弓)は、この2年間でどれだけ成長したか楽しみですし、月影先生役の夏木マリさんは、登場した瞬間から月影先生だったので、「すごい!」と思いました。後でうかがったことですが、夏木さんは漫画の絵を見ながらメイクをしていたそうです。そっくりにしてくださったことも嬉しいですし、雰囲気が素晴らしくて、あの役を本当によくここまで表現してくださってありがたいですね。桜小路役は細田よしひこさん、速水役は新納慎也さん、姫川歌子役は香寿たつきさんと新しいキャスティングで、予測がつかないほうが逆に楽しみですよね、期待しています。

パート3もあるでしょうか?
ぜひ! 観客の皆さんが喜んでくれることが一番の成功なので、その成功で続編ができることになりましたし、これが成功すればパート3、そして『紅天女』まで。一つの感動が次をつくっていくエネルギーになるので、まずは今回の舞台に期待をしています。

(埼玉アーツシアター通信27号より)